僕たちハワイ人がイベントでバンド出演する時

バンドでは僕以外全員ハワイ人なんですが、大きなイベントでは常にハワイらしくあれ、と示し合わせて振舞う様にしてます。常にジョークを飛ばしあって笑うとか、テントや食糧持ち込んで誰彼構わずテントに招いたり、突然ジャムセッションを通りがかりの地元のおじさんと始めたりします。というのは、ハワイ人が日本のイベントに顔を出すと、どうしても注目を浴びます。バンドマスターの方針なのですが、そういう場で皆が笑い合っている風景や、いつもジョークを飛ばしているところを見ていただいて、ハワイの空気を感じてもらいたいということです。といってもいつも通り振る舞うだけなんですけどね。

ステージのMC、アドリブな時もありますが、一年かけて温めるものもあります。目的は曲のあいだの間を埋めること、他のメンバーがページめくっている、または言いたいことが飛んでしまった時に助け合うからデス。何気なく言った事が受けた時よりも温めたネタが受けた方が楽しい。来年は同じネタ使えない。

ハワイアンばかり長年バンドマスターにしごかれつつ続けると、メロディの展開も読めるようになる。知らない曲でもスローソングミディアムテンポ限定ではありますが、歌詞さえあれば初見で3度5度6度のハーモニーが当てられます。ランニングベース弾きながらこれが出来るのはそうそういないかも?

大体ハワイアンの歌詞なんて、auhea wale ana oeで始まる曲沢山。締めくくりはha’ina ‘ia mai ana kapuana率高いし、よく出るkaulanaとかpuaとかmakaniとかmalihiniとかの言葉の意味覚えれば他の曲でも潰しがきくんです。

そんなauhea ana wale oeで始まる歌が多いと、困るのはどっちのアウヘアのメロディだったか忘れること。チョコ沢山食べて集中力高めても無理!そんな曲間でのハワイアン達の会 話。”how we start dis song?” “brah, you tell me!”

フラのバックアップミュージシャンとしての活動が頻 繁にあった 頃、10組に8組は「CD音源と同じように弾いてくれ」と言われます。ハワイではそんな事一回も言われた事はありませんでしたので、対応が解らず、言うとおりにしていたのですが、最近はこの意見の相違を擦り合わせる事から取り組んでます。よほどCDと同じように踊るのが好きなのですね、それじゃ面白くないよ。

最高のパフォーマンスとは、偶然から生まれると思いま せんか?何年か前にケアリイレイシェルのコンサート観にいって、カラオケで歌ってた。MCなし。やる気なさすぎ。ハワイアンだったら、客いじりとか上手なはずなのに、彼だけは異質。日本人をバンド連れて来る予算がないのかな。もちろん生レイシェルなので楽しかったので すが、例えば間奏を伸ばしてメンバー紹介するとかそういうの観たかったのに。

何が言いたいのかというと、フラ踊っている方も、ライブ ならではのバックと糸で繋がっているかのようなコミュニケーションを楽しんで貰いたいし、カヘアもちゃんと聴こえるように指示が貰いたい。例えばフラが走っているような らこちらでペース落としたりします。んじゃなければCD流してエアバンドしたって同じじゃない。

大きなフライベントにバンドとして参加すると、朝から夜までいく つかのバンドでシフトで歌い続けないといけません。ぶっちゃけ5時間位担当します。3ステージプラス練習セッション。これが三連休三日続く。2時間おきに、チョコ馬鹿喰いします。シューチョコが溶けなくて具合いいですね。さてそんな チョコ、三日間で30袋消費するもんだから、一つトランクまるごとチョコです。水も10リットル位飲みます。一日三万キロカロリー消費します。でもチョコないと集中が落ちて、楽譜飛ばして読んでしまう。シューチョコに感謝。

皆さんは僕のチョコ馬鹿喰いみたいな、ジンクスみたいなことはありますか?あれば真似したいデス。

ハワイの虹は何故6色しかないの?

虹の国ホノルルへようこそ。オアフに降り立って、車に乗り、高速道路で日本語ラジオチャンネルをつけると聞こえてくるフレーズです。そんなハワイの虹、よく見ると6色しかないって知ってますか?何故なんでしょう。受け売りのお話なのですが、有名な伝説をご紹介します。ハワイ語で虹=アヌエヌエ anuenue。ハワイアンソングを学んでいる人にとっては、よく歌詞に出てくるメジャーなハワイ語です。

言い伝えによると、その昔ハワイには虹がなかったそうな。雨上がりのハワイで虹がないなんて信じられませんね。いつもどんよりとした空。

そこでメネフネ(menehune カウアイ島の森に住む妖精です)の登場です。空をもっと明るくしたい、と材料を探しにいきます。見つけた材料は、

mai’a – バナナ(黄色)、’umeke – 海の水(青)、palapalai – 山のシダ(緑)、kalihi – 王家の羽(赤)、ilima – イリマの花(橙)、holoku – 女王のドレス(紫)

色はそろいましたが、それだけでは空にあげられません。次に道具を探しにいきます。

koa bowl – コアの木で作ったボウル、sugar cane – サトウキビ、bow – 弓、droplet of water – ひとしずくの水、kahuna – 足のないカフナ(神官)

揃えた6種の色を、カフナがコアのボウルとサトウキビで混ぜ合わせます。光に反射して、きれいな色がサトウキビからしたたります。メネフネが、このサトウキビを弓につがえて、斜め上に打ち上げます。これが虹の始まりです。

このお話は、雨、海、山、花、食べ物、王家の大切さを示しています。また、皆で力を合わせる楽しさと尊さ、kokua – コクアの心を表しています。

ホノルルに行ったら、虹を見てみてくださいね。2、3日にいっぺんは虹がかかりますので。

参考文献:”Hawaiian Mythology” – University of Hawaii Press by Martha Beckwith, 1977

ウクレレの歴史

「ウク」が「レレ」しているんです!ノミが飛び跳ねているんです!しばらくウクレレのウンチクにお付き合い願います。

ウクレレの歴史

ウクレレ(ハワイ語でʻukulele)は、4弦の小型弦楽器です。歴史はとても浅く、18世紀終わりごろが発祥です。にもかかわらず、発祥がいまだ謎に包まれています。

ポルトガルの楽器が起源ともブラジルが起源ともあるいはスペインとも言われていますが、様々な文献を原文で読ん だ結果、ポルトガルの説をこのブログでは採用しています。

ポルトガル移民が1879年の8月23日(ウクレレの日を設定するためにこじ付けで選ばれた日です)に持ち込んだブラギーニャと呼ばれる楽器を起源とします。形、大きさともにウクレレそっくりで、同じく4弦楽器です。補足ながら、ブラジルの弦楽器カヴァキーニョもブラギーニャが祖先とされています。見た目はKALAのウクレレそっくりです。

当時のハワイ音楽といえば、カヴァ・カヒコ(パフードラムを叩きながら行われる儀式)の伴奏に使われるチャンティング、独特の抑揚があります。通常のカヒコ・フラ(古典フラ)は、ドラムの替わりにイプヘケ(瓢箪)でリズムを奏でてフラが踊られていました。そこにキリスト教の聖歌が入ってきて、ハワイ音楽文化が始まります。ハワイアンチャント独特の抑揚を残しながら、西洋の音楽を取り入れ始めたのです。

 ただ、ハワイアンにとって不満だったのは、教会の中でしか音楽を楽しめなかったこと。ピアノやオルガンが弾ける人なんか当時はいませんでした。そこで入ってきたブラギーニャ。小さくて持ち歩きもできます。いつでも集まって歌を唄うことができます。早速取り入れられ、一大ブームになりました。自分で作ろうと思う人も増えたということは、当時のブームは相当なものだったでしょう。

そして、ある人が言ったんでしょうね。「ノミが飛び跳ねているようだ」と。ウクレレという言葉はハワイ語で「飛び跳ねる(lele)ノミ(ʻuku)」という意味で、当時の人気奏者のあだ名から取られたとも、小さな楽器の上で奏者の指が目まぐるしく動く様を表現したとも言われていますが、僕は最初はハワイアンのジョークから始まった一言だったと思うのですが、楽器の名前として定着したんだと推測しています。 

タヒチ島のタヒチアン・ウクレレ(8弦)もルーツは同じと考えています。ハワイ人の移民ルートはタヒチから広がったとされる説が現在は有力なのですが、楽器はこの移民ルートの逆をたどったと僕は考えています。

ハワイ王朝末期には、有名な音楽家が二人いますね。King David Kawika KalakauaとQueen Lydia Liliʻuokalaniです。前者はフラとハワイアン文化の復興に力を注ぎ、Merry Monarch(陽気な王様)という有名なフラコンペティションにも名前が残されています。後者はアロハ・オエやハワイ・ポノイの作者で、ハワイ王朝最後の女王です。ウクレレは特にこの二人によって、文化が花開いたと思います。王朝末期に在位していた二人は、ハワイ文化が失われるのを危惧していたことも理由にありますが、何よりも音楽が好きだったこともあり、ウクレレを広く民衆に広める役割を担いました。

さて、日本では小中学校と縦笛を習いますよね?カナダでは学校指定の楽器はウクレレで、義務教育で習います。カナダ人に有名なウクレレ奏者がたくさん現れるのも納得です。韓国、台湾、日本での人気ぶりもここで書くまでもありません。非常に良く似た楽器にブラギーニャやカヴァキーニョなどもあるのに、何故ウクレレは世界的に人気なのでしょう?

僕が通っていた学校では、20人に1人くらいは学校にソプラノウクレレをケースなしでそのまま持ち歩いて、放課後カニカピラをしながら皆で唄う。そんな身近さがウクレレの魅力なのでしょうね。

白人はウクレレのことを「ユークレリ」と読みます。英語読みがそのまま定着したんですが、僕はこれがとても不満です。僕の教室にも、「ユークレリ」と呼ぶ生徒さんがいますが、何度言っても矯正してくれません。へへ。ハワイアンはちゃんと「ウクレレ」と発音しますよ。もちろん。